THE SACRED LOTUS

CP二次創作小説サイトです。 BLは含まれません。

<< PREV | PAGE-SELECT | NEXT >>

>> EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

>> EDIT

ダンデライオン・37




 キョーコは大きく息を吸う。

 今まで“幼馴染”に話す気がなかった話をするために。

 不破尚、不破松太郎との関係を、今、この場で、完全に断ち切り、これから自分の夢のため、信じた道を真っ直ぐ前を向いて歩いていくために全てを曝そうと覚悟を決めた。


――もう、私の人生に不破松太郎も不破尚もいらない。


「ねぇ、ショーちゃん。どうして、私がさ、旅館の手伝いや、料理の勉強を率先してやってきたか、ショーちゃん、それも分かってないでしょ?」

 キョーコはそう言って、ニコッと笑った。

「ショーちゃんは、“お前は人に尽くすしか能がない”ってよく私の事、馬鹿にして笑ってるけど……私はそうすることでしか、自分を守れなかったんだよ。それ以外の方法を知らないの」

 一瞬、キョーコは泣き出しそうに顔を歪めるが、直ぐに無表情に取り繕う。

「母親に疎まれ、ショーちゃんの家に預けられて。ショーちゃんのご両親にまで厄介者扱いされたら……まだまだ子供だった私はどう生きればいいと思う?」

「……キョー、コ?」

「誰に対しても嫌われるより好かれたい。私だって本当はそう思ってたよ。でも、無理だった。だったら、“嫌われないように”立ち回るしか、ないじゃない?」

「……」

「それでも6歳前後の私が出来ることって言ったら高が知れてる。そんなことは分かっていたんだよ。だから、私は、私なりに努力したの」

 そう言って、今は傷一つない手のひらを見る。

「必死になって、私は桂剥きの練習をしたわ。手を血まみれしてね。桂剥きが出来るようになれば、板前として一人前として認められるって知っていたから。板長に、ショーちゃんのお父さんに少しでも私の存在を許容して欲しかったから」

「……」

「だから、必死になって桂剥きを覚えたの。勿論、女将さんにも“嫌われないように”旅館の手伝いを率先してやってきたわ。ねぇ、ショーちゃん、それは流石に知ってるでしょ?」

 首を傾げて問うキョーコを尚は直視できなかった。

「今思えば、あの時の私の選択は間違っていなかったわ。例え、当時の動機がどうであってもね。その技術は今の私の助けになってる。料理するのは楽しいし、人に美味しいって言ってもらえるのは凄く嬉しいわ。礼儀作法も、お茶も、お花も、着物の着付けも、教わってきたことは、私の武器になってる……だから、ショーちゃんの両親にはとても感謝しているわ」

「……」

「母親(あのひと)のところに居たら、私は何も出来ない、何もない空っぽな人間に育っていたと思うから」

「……」

「でもね、それでも私は彼らに“嫌われないように”するので精一杯だったの」

「……何を……言って、る?」

「私は東京に出てくるまで、“友達”なんて一人も居なかった」

「……それはお前が……」

「私が?」

「え?」

「私が悪かったって? そうかもしれない。私は自分の生活圏を守るので必死だったから、学校の子たちが私の事をどう考えているのか、理解できなかったから……虐められるのも仕方がなかったのかもね」

 キョーコはそう言って素っ気なく肩を竦めてみせた。

 *:.。. .。.:*・゜゚・*☆

 天音蓮華
 2011.12.08 執筆

 スキビ☆ランキング


 PrevNext
スポンサーサイト
web拍手 by FC2

| ダンデライオン【完】 | 21:00 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














<< PREV | PAGE-SELECT | NEXT >>

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。